Author Archives: kyushinkou
線維筋痛症【経路】篇
今日は、線維筋痛症の患者さんが受診されるまでの、経路に関して話したいと 思います。身体の広範囲な部位に痛みが継続している場合、この痛みの原因は 何か?また、どうしたら改善できるのか?と色々な手段を通して調べる方がほ とんどだと思います。もしかしたら、自分は線維筋痛症ではないだろうかと不 安に感じ、調べてもらいたい時、どのようにしたら線維筋痛症かどうかを鑑別 診断できる医療機関にたどり着けるのか?詳しく先生に聞いてみましょう。
禹:秋元先生、実際患者さんが自分は線維筋痛症ではないかと不安になり、診 察してもらいたい時、どの様な流れで受診にたどり着くのでしょうか。
秋元医師:そうですね、一般的には身近な人からの紹介や、インターネットで 調べて、専門で診察を行っている医療機関を見つけて受診していると思います。 近年では、【友の会】など患者さんや、関係者の方々がより速やかに情報を入 手することができるサイトもできました。
禹:そうなんですね、分かりました。内科、整形外科、耳鼻科、眼科などある と思いますが、線維筋痛症が医療分野としてどこに属しており、また先生はど の様な流れで受診することをお勧めされているのかを教えてください。
秋元医師:まずは、現在の線維筋痛症の疾患概念、定義がどうなっているのか を理解することが必要です。線維筋痛症は身体の広範囲な部位に原因不明の慢 性疼痛、全身性にわたるこわばりを主症状として、随伴する症状に多彩な身体 と神経・精神の症状を伴う疾患です。一般的な画像検査を含む臨床検査や、身 体診察で、この慢性疼痛を説明できる異常を見つけ出すことができません。ま た、この疼痛は、現在、病巣が特定されていない中枢性の疼痛とされ、疼痛が 中枢性に感作される中枢感作症状群の一つであり、中枢性に好発するため、機 能性身体症候群に属する特異的なリウマチ性疾患であると定義されています。 よって、リウマチ性疾患の一つですから、線維筋痛症がリウマチ分野に属する ということになります。 日本における現時点での線維筋痛症の概念について説明すると、実は、線維筋 痛症は新しい疾患ではなく、古くから同じような病態として知られていました。 例えば、非関節性リウマチ、心因性リウマチ、軟部組織性リウマチ、結合組織 炎、結合組織炎症候群、などと呼ばれていました。しかし、1990 年、米国リウ マチ学会によって、概念の定義と基準が提案されて、今日に至っています。 さらに、今日の線維筋痛症と類似した病態が存在しているため、一般の先生方 にとって診断治療を難しくさせてしまう場合があります。例えば、慢性疲労症 候群、過敏性腸症候群、顎関節症、小児不登校、パニック障害、シックハウス 症候群、化学物質過敏症、間質性膀胱炎などの機能性身体症候群に該当するも の、そして、うつ病や身体病原性障害などの精神疾患に不該当とするものです。 現在、これらの病態疾患は線維筋痛症との違いを明確に示すことができないた め、患者さんがどこの科を受診したらいいのか分からなくなってしまうのも無 理がありません。
しかし、明確なのは、線維筋痛症がリウマチ性疾患の一つであるため、リウマ チ専門医またはリウマチ登録医がいる線維筋痛症を診ることのできる内科また は整形外科を受診されることをお勧めします。
禹:先生、非常に勉強になりました。また、色々教えてください。貴重な話し をありがとうございました。
禹^^
【6月】の休診日お知らせ
6/18~6/22、6/25~6/29
6月の第3、第4の平日は研修の予定があるため、ご迷惑をおかけ致しますが、
休診させて頂きます。
ご了承ください。
日付: 2018年5月21日 カテゴリ:お知らせ
養生百科【生老病死】①
今日は、人の人生を四つの文字で表すことができる「生老病死」に関して話したいと思い ます。1 年は 365 日、「春夏秋冬」に分けることができます。人は寿命というものから離れ ることはできず、淘汰されていくものなのです。道家の思想では、人の一生を「生老病死」 に分けて考えます。人は世の中に生まれ、衰え、病になり、最後はなくなるものである。 その常は自然規律に従っているのです。当たり前のことですが、なぜ一生を楽しく過ごす 人もいれば、日々苦しい一生を過ごす人もいるのでしょうか。答えは 1 つとは限りません が、私は「生老病死」に関する理解が主に重要な要素となっていると思います。
人が生まれ、衰え、病に患い、亡くなることは変わらないわけですが、唯一変えることが できるのは、一生の「質」ではないかと思います。早く衰えれば、病が早く訪れるでしょ うし、病を患えば、死が近くなると思います。生まれること、死ぬことは変えることがで きない規律ですが、衰えと病は調整することができるのです。私はその答えは、生活習慣 にあると考えます。良い生活習慣を送る人は、健康です。これまで多くの人達に注目して きましたが、生活習慣が悪い人はその時の刺激と楽しさに負けて、乱れた生活習慣となる ため、老化も進み、病にも患いやすくなり、早死になることが分かりました。
もちろん、「自分は 50 年の人生だとしたら、好きな事と楽しいことばかりを行っていきた い。」という人は世の中に沢山いると思います。しかし、人の欲はそれだけでは終わらない ものです。そう言えるのはあくまでも健康な時に言えることであり、50 歳に近づいたら、 あともう少し生きていたいと言いながら延々と欲が続くのです。健康な時は、好きな事ば かりを好みますが、病気になると、普通に生活できれば満足であると思うようになります。 例えば、走っている人がいきなりに寝ていたいとは言いません。走っている人は歩くだけ で、楽だと感じます。歩く人は立っているだけで楽だと感じますし、立っている人は座る だけで楽だと感じます。座っている人は寝ていると楽だと感じますが、寝ている人は残念 ですが次は死ぬことが楽だと考えるようになります。これも人の欲であり、「あともう少し」という人の心理でもあり ます。私達は日々この様な悩みをもって生活しています。
また次回を…
禹^^
日付: 2018年5月14日 カテゴリ:医院ブログ, 養生豆知識
線維筋痛症素問【名称】篇
素問とは元のことに関して質問するとの意味です。
最近ではないのですが、少し前にメディアから線維筋痛症(FM)に患っている有名な歌手の報 道により多くの人から注目を集めたと思います。その後、線維筋痛症に患って苦しんでい る患者さんの声がより広がるようになってきました。今回のメディアのきっかけによって、 より多くの人達が線維筋痛症に関して知るようになったこともあると思います。
今日は、 より詳しく線維筋痛症に関して一緒に勉強していきたいと思います。 線維筋痛症(FM)とはどういう意味であるのか、その名称から話したいと思います。線維 筋痛症(FM)は FibroMyalgia といいます。Fibri は線維、Myo は筋のことであり、al gia は痛みのことであります。日本ではそのまま「線維筋痛症」と呼びます。中国では「繊 維肌痛総合症」と呼び、漢字が異なります。よく皆さんも線維を繊維に書いたり、間違う ことがあると思います。何故「繊維」ではなく「線維」にしたのかが知りたくありません か?ここで疑問に感じたことを秋元医師に伺ってみたいと思います。
禹:秋元先生、中国には「線」という字はありますが、「線維」という表現はありません。 「線維」と「繊維」の中で、なぜ日本では「線維」を使うようになったのでしょうか?
秋元先生:中々難しい質問をしますね、 「繊維」と「線維」は意味がほとんど同じでありま す。両方とも細いせんいの意味であります。この話は日本医学会が漢字を置き換えた背 景があります。明治初期の医学書などには医学用語として「繊維」が使われたようです が、米デュポン社が販売したナイロンを始めとする化学繊維をイメージした言葉が良く 使用されるようになって、ようやく辞典などに繊維織物や紙の材料としてと記載される ようになりました。それ以来、せんいと言えばまず先に人工合成の繊維が取り上げられ るようになりました。戦後十数年を経て、医学の世界で は「線維」が使われるようになり、その後日本医学会は「神経繊維」を「神経線維」と して表記を改名しました。それから、医学用語でのせんいを「線維」として使ってきた ものと思われます。「繊維」と「線維」はほとんど意味は同じではありますが、私が思う には、一般用語と医学用語に分けたかったのでしょう。
禹:なるほど、そういうことなんですか、先生ありがとうございます。
「繊維」と「線維」に関して少し理解して頂けましたでしょうか。また、中国では線維筋 痛症の「筋」を「肌」として名称付けていますが、その違いに関して私から考察してみま す。中国は東洋医学の歴史が古い国であり、漢字の源であります。漢字は時代によって少 し変化した状態で到来していますが、その中で、医学は宮殿の黄帝のための非常に重要な 部分であり、命に係わることであるため、間違いはありえないことです。ですから、医学 書を参考に漢字の元の意味を調べることはよくある話です。古典医学書には「筋」のこと を今の腱(日本でいうすじ)として表現し、 「肌」のことを筋肉として表現しています。日本 では「筋肉」として使われるものが、中国では「肌肉」として表現しています。よく、「あ なた筋肉あるね」ということを中国では「あなた肌肉あるね」といいます。皮、膚、肌、 肉、筋に関してはまた、詳しく説明します。
線維筋痛症(FM)の名称に関してすこし勉強できましたでしょうか、今日は、ここまで話 したいと思います。また、続きを楽しみにしていてください。
禹^^
日付: 2018年4月27日 カテゴリ:医院ブログ, 線維筋痛症
開始前の挨拶
池袋内科で井上医師、秋元医師と一緒に線維筋痛症の鍼灸治療に取り組み始めてか ら、5年近く経とうとしています。線維筋痛症で苦しんでいる様々な患者さんと向き 合うことで、非常に多くのことを学びました。典型的な線維筋痛症の方もいれば、少 し異なった線維筋痛症の方もいます。重い痛みを持っている方は、光や音に対して非 常に敏感です。皮膚に触れただけでも痛く、着替えができない方もいます。不眠、便 秘、うつ症状など、随伴している症状は様々です。実際に治療を通して分かったこと があります。それは、痛みから解放されたい日々の苦しさ、痛みからくる心の疲れか ら生活に支障をきたすということです。
多くの鍼灸師が久心康ブログを通じて、線維筋痛症に詳しくなって頂き、線維筋痛 症を患っている患者さんの苦しい面を理解した上で、鍼灸治療に取り組んでいただけ ましたら幸いです。多くの鍼灸師が対応できるようになれば、自宅から近所の鍼灸院 に通ってもらうことが可能になると思います。定期的に治療を受けることで患者さん の症状はより一層回復に向かうことができると思っております。
久心康ブログでは、鍼灸師が医師に質問した内容とその答えを書きます。また、東 洋医学の観点から健康に関する興味深い話題など、様々取り上げますので、是非、楽 しみにしていてください。
禹^^
日付: 2018年4月16日 カテゴリ:医院ブログ